0603サイズで業界最高クラスの低抵抗100mΩを実現した電流検出用チップ抵抗器を開発

2014年7月15日 <要旨> ローム株式会社(本社:京都市)は、スマートフォンやウェアラブル機器など小型機器の電流検出用途に最適な低抵抗チップ抵抗器「UCR006」を開発しました。 UCR006は、0603サイズ(0.6mm×0.3mm)の厚膜タイプとしては業界最高クラスとなる低抵抗100mΩを実現したことで、機器の省エネ化に寄与。また、低抵抗領域の0603サイズとしては業界初となる使用温度範囲-55~155℃を達成し、幅広いアプリケーションに対応することが可能です。さらに、定格電力も同サイズ汎用品の2倍となる0.1Wを保証。低抵抗化と高電力化を両立したことで、1005(1.0mm×0.5mm)サイズからの置き換えを容易にし、機器の小型化にも貢献します。 なお、本製品は、2013年12月より既にサンプル(20円/個:税抜)を出荷し、2014年2月から当面月産2000万個の体制で量産を開始しています。生産拠点は、ROHM Integrated Systems (Thailand) Co.,Ltd.(タイ)となります。 <背景> スマートフォンなどの電子機器を動作させるためには、機器の内部で電流の検出や電圧の制御を行う必要があり、100を超える抵抗器が使用されています。電流の検出には、電力損失を減らすために抵抗値の低い抵抗器を使用する必要がありますが、機器の高機能化に伴い定格電力も合わせて要求されています。 ロームはこれらの要求に対して、電流検出用の低抵抗チップ抵抗器「UCR シリーズ」を開発していましたが、近年のスマートフォンやウェアラブル機器のように、さらに小型で低消費電力の部品を必要とする機器が増えており、電流検出用途の抵抗器を小型化する際には、低抵抗化と定格電力、新たに浮上した抵抗値許容差の保持など、さまざまな課題をクリアする必要がありました。 <新製品の詳細> 本製品は新しい材料と構造を採用し、厚膜タイプ抵抗器の0603サイズにおいて、業界最高クラスの低抵抗100mΩを実現しました。 また、新しい材料と構造を採用する際に放熱性も高めており、小型化とトレードオフになる定格電力を同サイズ汎用品の2倍となる0.1Wを保証。使用温度範囲も低抵抗領域の0603サイズとしては業界初の-55~155℃を達成し、ポータブル機器はもちろんのこと、これまで以上に幅広いアプリケーションへ対応できます。 さらに、低抵抗化の際に課題となる抵抗値許容差においては、独自のトリミング技術を施し±1%(F級)も実現。既存シリーズの特長である裏面実装構造により、抵抗温度係数0~300ppm/℃と半田実装時の抵抗値ズレ低減も継承しており、抵抗値の変動を小さくすることに成功しています。これらにより、高精度な電流検出が必要な回路にもご利用頂くことができます。 ロームは今後もスマートフォンやウェアラブル機器などの機器向けに、小型・高精度抵抗器のラインアップを拡充していきます。 <特長> 1.0603サイズの厚膜タイプ抵抗器で100mΩを機器の省エネ化に寄与 新材料と新構造を採用し、厚膜タイプ抵抗器の0603(0.6mm×0.3mm)サイズにおいて、業界最高クラスの低抵抗100mΩを実現。低消費電力の部品を必要とする機器に最適な製品です。 2.使用温度範囲-55~155℃の達成により、幅広いアプリケーションに対応可能 使用温度範囲-55~155℃を実現することで、スマートフォンやウェアラブル機器といったポータブル機器はもちろんのこと、高温度環境下での使用が必要な分野でも使用できるため、幅広いアプリケーションで使用できます。 3.同サイズ汎用品の2倍となる定格電力0.1Wを保証し、小型化に貢献能 新しい材料と構造を採用する際に放熱性も高めることで、小型化とトレードオフになる定格電力を同サイズ汎用品の2倍となる0.1Wで保証。これにより、1005(1.0mm×0.5mm)サイズから置き換えが容易になり、実装面積を64%削減できます。 4.高精度な電流検出を実現する3つの性能 ①抵抗値許容差 1%(Fクラス)を実現 独自のトリミング技術を施すことで、低抵抗化の際に課題となる抵抗値許容差において、1%(Fクラス)を実現。 ②抵抗温度係数 0~300ppm/℃を達成 裏面実装構造により、抵抗温度係数0~300ppm/℃を達成。 ③半田実装時の抵抗値ズレを解消 裏面実装構造の採用で、小型・低抵抗の半田実装時に起こりうる不慮の抵抗値ズレを起こす心配もありません。 これら3つの性能により、抵抗値のバラツキが減り、高精度な電流検出を可能にします。 <アプリケーション> スマートフォン ウェアラブル機器 その他小型携帯機器 HDD/DVDプレイヤー ポータブルオーディオ <特長> 品名 サイズ(mm) 定格電力(70℃) 抵抗値許容差 抵抗値温度係数(ppm/℃) 抵抗値範囲(mΩ) シリーズ 使用温度範囲(℃) NewUCR006 0603 0.1W J (±5%) F (±1%) 0 ~ 300 100 ~ 910 E24 -55 ~ +155 UCR01 1005 0.125W J (±5%) F (±1%) 0 ~ 300 68 ~ 91 0 ~ 250 100 ~ 200 0 ~ 200 220 ~ 910 UCR03 1608 0.25W J (±5%) F (±1%) 0 ~ 250 20 ~ 47 0 ~ 200 51 ~ 91 0 ~ 150 100 ~ 200 0.2W J (±5%) F (±1%) 0 ~ 150 200 ~ 910 UCR10 2012 0.33W J (±5%) 250 ± 200 11 ~ 18 0 ~ 250 20 ~ 47 0 ~ 150 51 ~ 100 F (±1%) 0 ~ 250 20 ~ 47 0 ~ 150 51 ~ 100 UCR18 3216 0.5W J (±5%) F (±1%) 0 ~ 350 11 ~ 18 0 ~ 200 20 ~ 39 0 ~ 150 43 ~ 100 <用語説明> ・定格電力 「定格電力」は電子機器やIC、受動部品を安全に使用するための消費電力の最大値のことを言う。つまり、「定格電力」が大きいほど、より電力を消費する環境や熱の変化、不慮の電圧・電流の変化に強くなり、壊れなくなる。 ・電力損失 抵抗器は電流の検出や電圧の制御する機能を持つが、これは電力(電流、電圧)を熱に変換することで成り立っており、熱に変換することは損失であると言える。つまり、機能を満たしつつ必要最小限の抵抗器を用いなければ、不要な電力損失が発生することになってしまう。 ・抵抗温度係数 あらゆる物質は温度変化によって内部の抵抗値が変化する。抵抗器も例外なく温度の変化とともに抵抗値が変化していき、その変化の割合を抵抗温度係数と言う。単位はppm/℃。

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