発表日:2011-05-12 半導体メーカーのローム株式会社(本社:京都市)はこのほど、市場の拡大が進む車載LEDヘッドランプ/DRL向けに専用1チップLEDドライバLSI 「BD8381EFV-M」を開発しました。今回開発した「BD8381EFV-M」は、欧米などで搭載が進むDRL(Daytime Running Light:昼間認識用補助ヘッドランプ)向けPWM機能を内蔵するなど車載用ヘッドランプ/DRL向けに新たに開発したもので、従来は汎用のLEDドライバLSIか、或いはディスクリート部品で構成されていたLEDドライバ回路に必要とされる機能をすべて1チップにしました。この新製品は、2011年4月からサンプル出荷(サンプル価格:400円/個)を開始し、2011年7月から当面月産5万個の規模で量産を予定しています。生産拠点は前工程をローム・ワコー株式会社(岡山県)、後工程をROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.(タイ)で行う予定です。 昨今、車載用のヘッドランプは、徐々にLED化が進んできており、高効率・長寿命といった特長を背景に将来的にはヘッドランプ市場の中心になると期待されています。また、自動車の安全性、視認性確保のため、LEDを使用したDRLを搭載するケースが増加しており、今後は、LEDヘッドランプ/DRLの搭載が車載向け標準仕様になると予測されます。現時点では、LEDヘッドランプの採用は高級車など一部の車種に限定されており、自動車メーカー、ヘッドランプメーカー様においては、汎用のLEDドライバLSIを流用、または、ディスクリート部品を中心に構成するという形をとられており、DRLを搭載する場合はそのドライバ回路も別に用意する必要がありました。ロームでは、今後のヘッドランプのLED化に備えていち早く専用LSIの開発に着手し、ヘッドランプ用LEDドライバに必要とされる機能を取り込んだLSIの開発を進めてきました。今回ロームが開発したヘッドランプ専用LEDドライバLSIは、特に欧米などで先行して普及がはじまっているDRL向けに、オシレータ回路を内蔵することによりマイコンレスでのPWM調光を実現しました。また、高信頼性が求められる車載市場のニーズに対応してLEDのショート、LEDのオープンなどヘッドライトの故障を検出する各種保護機能を搭載し、ディスクリート部品で構成する場合や、汎用のLEDドライバLSIで構成する場合と比較して部品点数の削減による大幅な信頼性の向上を実現しました。また、絶対最大電圧を50Vに設定し、バッテリの電圧変動にも余裕を持って耐えられる高耐圧化も実現しました。 ロームでは、携帯電話用、薄型パネル用などの各種のLEDドライバを幅広く製品化しており、低消費電力、高信頼性といった特長によりLEDドライバLSI市場においてお客様から高い評価をいただいています。今回の新製品の開発はこうしたLEDドライバ回路技術の幅広いノウハウと、自動車市場向けに専用ラインを設置して、高い信頼性を実現する高品質、高信頼性の総合力で実現したものです。ロームでは、今後市場が大きく拡大すると期待される自動車電装品市場向けにさらにLEDドライバLSIの製品ラインアップの強化を図っていく考えです。 ■車載用ヘッドランプ専用LEDドライバLSI 「BD8381EFV-M」の主な特長 入力電圧範囲 5V~30V 昇降圧カレントモードDC/DCコントローラ内蔵 PWM調光用CRタイマー内蔵 PWM/リニア調光対応 各種保護機能内蔵(UVLO、OVP、TSD、OCP、SCP、LEDオープン検出、LEDショート検出) ■BD8381EFV-Mブロック図 ■用語説明 PWM調光 Pulse Width Modulationの略で、PWMのon dutyに合わせてLEDに流れる電流を制御し、輝度調整を行うこと。 DRL Daytime Running Lightの略で、北米や欧州のような霧が濃い地域で歩行者の視認性を高めるために、昼間であっても点灯させる前照灯のこと。昼間は一定電流をLEDへ供給するが、夜間はPWM制御に応じた電流をLEDへ供給する。
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