各位
会社名 | 日本電産株式会社 |
代表者名 | 代表取締役会長兼社長 永守 重信 |
取 引 所 | 東証一部(6594) NYSE (NJ) |
所 在 地 | 京都市南区久世殿城町338 |
問合せ先 | 広報宣伝・IR部長 田村 徳雄 |
電話 | (075) 935-6150 |
世界初、SiC 搭載インバータによるマグネットレスモータ駆動システムを開発
日本電産株式会社(以下、当社)中央モーター基礎技術研究所(以下、当研究所)は、次世代半導体であるSiC(シリコンカーバイド)を搭載したインバータでモータを駆動する技術を開発し、永久磁石を全く使わず特別な制御が必要なスイッチトリラクタンスモータ(以下、SRモータ)に適用し、SiC搭載インバータによるマグネットレスモータ駆動システムのコンセプトモデルの試作に、世界で初めて成功しました。
1. SiC搭載インバータによるモータ駆動システムのニーズ
今後のモータには、小型・軽量化と低消費電力性能が要求されています。とくに、日本国内の電力消費量のうち、モータを搭載した機器が消費する電力は実に、全体の57.3%を占めており*、モータの低消費電力化はグリーンイノベーションを実現するための最重要課題です。
一方、従来のシリコン半導体デバイスを凌駕するSiC 半導体やGaN(窒化ガリウム)半導体の開発が進んでいます。そこで、低損失・高耐熱で大電流で駆動できるSiC 半導体デバイスに着目し、SiCを搭載したインバータでモータを駆動させるシステムの実現とモータ駆動システムの小型化と軽量化に成功しました。今回試作したコンセプトモデルは、従来のインバータ+モータに比べ、小型化(当社従来比32%)・軽量化(当社従来比69%)を達成しました。また、インバータにSiCを使用することで電力損失を大幅に抑えることができるため、低消費電力化にも大きく貢献できることが期待されます。
*(財)新機能素子研究開発協会 電力使用機器の消費電力量に関する現状と近未来の動向調査(2009.3.23)による
2. SiC搭載インバータによるモータ駆動システムの技術
このモータ駆動システムの設計には、SiC 半導体デバイスの性能を引き出すための回路技術と、インバータに搭載される部品のサーマルマネージメントを可能とするための熱解析技術が必要です。
SiC半導体デバイスは、京都大学で数十年にわたり研究開発が進められていますが、京都大学を中心とした多くの大学、企業、公的研究機関が一体になって推進する独立行政法人科学技術振興機構(JST)京都地域スーパークラスタープログラム(中核機関:(公財)京都高度技術研究所)に当社が参画して開発を進めました。具体的には、産々連携としてローム株式会社(本社:京都市右京区)、ニチコン株式会社(本社:京都市中京区)と共同し、産学連携として京都大学、大阪大学、立命館大学とオープンイノベーションを進めました。
さらに、このSiC 半導体デバイスを搭載したインバータの回路シミュレーションを考慮したモータ駆動システムのための熱解析技術を横浜国立大学と共同で開発しました。
3. SiC搭載インバータによるモータ駆動システムの今後の取組み
今回SiCを搭載したインバータによるモータ駆動システムを開発しました。今後は、インバータとモータを一体化した機電一体モータを2015年に開発予定です。
そして、今回開発したモータ駆動システムの技術を、今後は、当社の産業分野や家電分野の中・大型モータシステムへ2017年以降適用していき、2020年以降車載分野へと展開していきます。
最大出力(モータ) | 44kW |
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冷却方式 | 水冷 |
図 今後のモータ駆動システム(機電一体モータ)
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