【掲載記事】ロームが高効率小型AC/DCコンバータICを新規開発

AC/DCコンバータ制御ICに必要なほとんどの機能と保護を搭載 | 必要な電力、実装スペース、保護機能に応じて自在に選択 | 高効率、低待機電力、小型のニーズに応える | まとめ | アプリケーションと関連資料 AC/DCコンバータの市場は膨大である。なぜならば、電子機器1台につき最低でも1個のAC/DCコンバータが必要だからだ。ほとんどの電子回路はDC(直流)電圧で動作するので、コンセントのAC(交流)100Vを直接使うことができない。したがって、AC電圧からDC電圧への変換が必須となる。 ロームは先日、新規AC/DCコンバータICの新シリーズ全24機種をリリースし、今後も製品ファミリを拡大していく方針。 リリースされた「BM2Pシリーズ」は、「高効率、低待機電力、小型」を特長とした、小電力用途のAC/DCコンバータICである。戦略的アプローチとして、最近バージョン6.0にアップデートされたばかりのEnergy Starに適合する効率と低待機電力を達成した。また、出力パワートランジスタと、ほとんどの保護機能を内蔵したにも関わらず、小型パッケージに収めることに成功し、非常に小さなフォームファクタで高性能なAC/DCコンバータを実現する。 これらの特長は、家電やACアダプタ仕様の機器メーカの最先端ニーズに応えるもので、並み居る競合に対するロームの挑戦状ともいえる。 絶縁型降圧フライバックAC/DCコンバータの回路例 外付け部品が少なく、シンプルな回路構成で、省スペース。非絶縁フライバック式電源を構成可能。 BM2Pシリーズは、高効率、低待機電力、小型のニーズに対して、既存のAC/DCコンバータを凌駕するソリューションとして開発された。基本的に25Wまでの絶縁型フライバックAC/DCコンバータを構築可能で、非絶縁型にも対応する。出力パワートランジスタと、ほとんどの保護機能を内蔵したことで外付け部品を削減し、さらに小型のSOP-8表面実装パッケージに収容したことで、非常に小型のAC/DCコンバータを実現する。 主な特長 ・ローム独自の650VスーパージャンクションMOSFET内蔵 ⇒ 高効率と小型化 ・電流モードPWM制御、サイクルごとの過電流リミッタ機能 ⇒ 負荷過渡応答の高速化 ・スイッチング周波数 65kHz ⇒ スイッチング損失と周辺部品サイズの好バランス ・周波数ホッピング機能内蔵 ⇒ 周波数スペクトルの分散によりEMIを低減 ・軽負荷時バースト動作/周波数低減機能 ⇒ 軽負荷時の効率低下防止 ・650V起動回路内蔵 ⇒ 待機時電力低減、高速起動 ・VCC端子低電圧保護および過電圧保護 ⇒ 出力電圧の過電圧保護、他の外付け部品オープン保護 ・SOURCE端子オープン保護およびショート保護 ⇒ 内蔵MOSFETの破壊防止。ショート保護はローム独自 ・ブラウンアウト(BR)機能 ⇒ AC電圧低下保護 ・2次側過電流保護回路 ⇒ 過負荷保護 ・ソフトスタート ⇒ 起動時の突入電流保護 BM2Pシリーズ、全24機種は、下記の4項目の組み合わせで構成されている。様々な機器にジャストフィットするよう、仕様が細分化されている。 (1) パッケージ: 2種類-小型表面実装SOP8とスルーホールDIP7 ⇒ 電力と実装スペースに応じて選択 (2) 内蔵MOSFETのオン抵抗: 4 種類-1.4Ω/2.4Ω/4.0Ω/8.5Ω ⇒ 電力に応じて選択 (3) ブラウンアウト(BR)機能(AC電圧低下時保護): 2種類-機能ありと機能なし ⇒ 製品に応じて選択 (4) VCC過電圧保護(VCC OVP)作動時の動作: 2種類-ラッチと自動復帰 ⇒ 製品に応じて選択 BM2PxxxFシリーズ(SOP8) BM2Pxxxシリーズ(DIP7) 機種名 Ron (Ω) 出力 電力 W BR VCC OVP 機種名 Ron (Ω) 出力 電力 W BR VCC OVP 機種名 Ron (Ω) 出力 電力 W BR VCC OVP BM2P051F 4.0 ≤8 有 ラッチ BM2P011 1.4 ≤25 有 ラッチ BM2P051 4.0 ≤13 有 ラッチ BM2P052F 自動復帰 BM2P012 自動復帰 BM2P052 自動復帰 BM2P053F 無 ラッチ BM2P013 無 ラッチ BM2P053 無 ラッチ BM2P054F 自動復帰 BM2P014 自動復帰 BM2P054 自動復帰 BM2P091F 8.5 ≤5 有 ラッチ BM2P031 2.4 ≤19 有 ラッチ BM2P091 8.5 ≤8 有 ラッチ BM2P092F 自動復帰 BM2P032 自動復帰 BM2P092 自動復帰 BM2P093F 無 ラッチ BM2P033 無 ラッチ BM2P093 無 ラッチ BM2P094F 自動復帰 BM2P034 自動復帰 BM2P094 自動復帰 BM2Pシリーズに内蔵された出力パワートランジスタは、ローム独自のスーパージャンクションMOSFETである。このスーパージャンクションMOSFETは、650Vの高耐圧を実現しながら、低オン抵抗、低ゲート電荷量(Qg)、高速スイッチングを特長とする。 一般にMOSFETのオン抵抗は素子サイズに大きく依存する。つまり、オン抵抗を下げたければサイズを大きくすればよいが、小型化には相反することになる。スーパージャンクションMOSFETは素子サイズに対するオン抵抗が小さいことから、小型のSOP8パッケージで4Ωという非常に小さなオン抵抗を実現し、SOP8で業界初の8Wという高電力密度を達成した。 SOP8 6.2mm×5.0mm×1.5mm DIP7に対して、実装面積を47%削減! このサイズで最大8Wが可能 DIP7 9.20mm×6.35mm×4.30mm 25Wまでをカバー 実装面では、SOP-8は6.2mm×5.0mm×1.5mmと小型なのはもちろん、整流器以降の外付け部品がわずか十数個で済むことから、コンパクトだけではなく設計や基板レイアウトも簡単だ。 勿論、このスーパージャンクションMOSFETの性能を最大限に引き出しながらノイズを低く抑えるために、徹底したドライバ回路の最適化が図られている。スーパージャンクションMOSFETの採用は、外付け部品点数を削減するだけではなく、効率と電力密度の向上に大きく貢献している。 BM2Pシリーズは、軽負荷時や待機時の効率を高めるために、IC自体の消費電力はもちろん、回路全体の電力損失についても徹底した削減がなされている。それは、回路の自己消費電力が軽負荷時や待機時の効率(逆に言えば損失)において支配的になるためだ。 IC自体の待機時消費電流は、従来の類似品と比較すると40%削減されているという。また、650V起動回路は外付け回路を不要にし、起動後はアイドル電流が流れない仕組みにするなど、外付け回路を取り込むことでも改善が行われている。当然ながら、損失が小さいスーパージャンクションMOSFETを内蔵したことは効率に寄与しているが、軽負荷時バースト動作と周波数低減機能が軽負荷時の効率を維持することも見逃せない。こういった細かいところを詰めていく消費電力の削減は、高い回路技術に基づくものである。 先ごろ、国際規格Energy Starの要求仕様が5.0から6.0に更新された。この更新では、待機時の電力消費の削減目標がより高く、つまり電力としてはより低くなっており、効率に関してもより高い値が要求され、特に25W以下の電源に対しては、そのアップ率が高くなっている。 Energy Star 5.0と6.0の待機時電力要求の比較とロームの実力値 Ver. 出力電力 待機時電力 目標値 ローム実力値 5.0 0~50W 未満 0.300W 以下 – 50~250W 未満 0.500W 以下 – 6.0 1~49W 以下 0.100W 以下 0.020~0.030W 以下 49超~250W 以下 0.210W 以下 0.030~0.050W 以下 Energy Star 6.0の効率要求とローム実力値 Energy Star 6.0 効率要求 ロームの平均効率 25W級:86.35% 115VAC時:87.00% 230VAC時:86.42% Energy Star 5.0と6.0の出力電力に対する効率要求の比較 表が示すようにBM2Pシリーズは、待機時電力目標を桁違いでクリアしており、出力電力に対する効率に関しても、25W時の例を示すが、要求を満たしているのが分かる。 現実的にはEnergy Star 6.0への対応には、部品選択や回路設計においてかなりの課題があると言われている。また、携帯機器やPC周辺機器などのACアダプタや電源には、Energy Star対応が必須であり、世界市場を見据えた場合には特に重要なポイントとなる。BM2Pシリーズのように、この点がすでにクリアになっているAC/DCコンバータ用ICが提供されることは、電源設計者にとって朗報であろう。 ロームのAC/DCコンバータBM2Pシリーズは、「高効率、低待機電力、小型」をターゲットに開発され、内蔵の出力トランジスタにスーパージャンクションMOSFETを採用したことで、効率を高め、小型表面実装SOP8パッケージで8Wの出力を可能にした。さらに、ほとんどの保護機能や起動回路を内蔵することで外付け部品を減らし、実装面積を削減すると同時に設計も簡単にした。自己消費と回路全体の損失の削減を積み上げて、待機電力も大幅に低減し、より要求条件が厳しくなったEnergy Star 6.0にも対応可能なのは前述の通りである。多くのAC/DCコンバータICのサプライヤが存在する中で、ターゲットが明確で国際的な要求にも対応できるICであることが確認できた。 なお、フライバック式回路の場合、トランスの設計が必要となる。ロームではトランス設計を始め、必要な外付け部品の選定などを含めた設計サポートを行っている。特にスイッチング電源の設計は、それなりの知識と経験が必要になるが、メーカが設計全体をサポートしてくれるのは大きな安心材料である。 ●AC/DCコンバータIC 一覧 : 主要スペックによる検索、比較、並べ替え ●AC/DCコンバータICのアプリケーション・サポート・ページ : 設計資料、アプリケーション事例 ●AC/DCコンバータIC BM2Pxxx / BM2PxxxF シリーズ紹介ページ : 動画、評価ボード、購入情報 この記事はインデックスプロのWEBサイトに掲載されました。

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