特集:照明・ディスプレイ用部品技術 タブレット・E-book向けLCDバックライト用LEDドライバIC

掲載記事 Contributing Articles はじめに | LCDバックライト用LEDドライバ ラインアップ | ロームLCDバックライト用LEDドライバの特長 | 自動調光コントローラ | 今後 はじめに タブレット型の多機能携帯端末が続々と登場している。ノートパソコンより機動性が高く、タッチパネル式液晶で直感的に操作できるのがタブレット型端末の特徴であり、ノートパソコンとスマートフォンの中間に位置付けられる。 タブレット型端末の特徴として、今までのパソコンをベースにした携帯端末より軽快な動作と長時間のバッテリー持続時間を実現し、価格もネットブック並みで、データサービスを使えるモデルのラインアップもすすんでいることが挙げられる。 また、タブレット型端末は電子書籍を利用するのに適している。スマートフォンより画面が大きくて文字が読みやすく、パソコンよりも機動性が高くてどこでも読めるからだ。 タブレット型端末は、その機動性からあらゆる環境下で使用されるため、LCDバックライトを点灯するドライバにもパソコン向けと携帯電話向けの両方の技術を兼ね備えたLCDバックライト用LEDドライバが求められるようになってきている。 LCDバックライト用LEDドライバ ラインアップ ロームは携帯電話の低消費電力技術とノートパソコンの調光技術を兼ね備えたLCDバックライト用LEDドライバICをラインアップしている。リチウムイオン電池1セルを想定した2.7VからACアダプタ22Vまでに対応する電源電圧範囲を持ち、1chip当りの最大LED点灯数が10灯から72灯まで対応可能なLCDバックライト用LEDドライバICをラインアップし、タブレット型端末の中型LCDサイズに最適なLEDドライバICを選択することが可能である。 また、実装性を重視したQFNパッケージと省スペースを重視したCSPパッケージを選択できるのもラインアップの特長となる。(図1) [図1]72灯(最大12直列 × 6並列)LCDバックライト用LEDドライバ BD6583MUV-A ブロック図 ロームLCDバックライト用LEDドライバの特長 10インチ級の中型LCDにおけるバックライト技術のポイントとして、列間の輝度ばらつきを無くすことと、PWM調光制御方法の点が挙げられる。中型LCDにLEDバックライトを適用する場合、各LED列のLED素子による電流ばらつきがLCDパネルの輝度むらを発生させる大きな要因である。ロームは独自の回路技術を導入することにより、各LED列の電流マッチングばらつきを±1.5%以下に抑えることに成功し、中型LCDにLEDバックライトを適用した場合でも、LCDパネルの輝度むらを発生しないよう設計した。特に輝度むらは低輝度時に特に顕著に現れるが、低輝度時(低PWM信号デューティー入力時)でも列間LED電流マッチングを抑える独自技術を採用し、幅広い調光範囲に対して輝度むらを抑えている。(図2) [図2]PWMデューティー対LED電流マッチング PWM=200Hz,Ta=25deg, また、PWM調光時にはEMIノイズを発生させ、他機能へ影響を及ぼすことがあるが、ロームのLCDバックライト用LEDドライバはPWM調光時の昇圧DC/DC出力電圧のリップルを最小限におさえるアーキテクチャを採用し、放射EMIノイズを最小限に抑えた。セット開発者への負担を極力なくしながら、余分な対策部品を減らし、環境負荷低減に大きく貢献できるセットを開発できるラインアップとなっている。PWM調光には、低消費電力を優先する「ローパワーモード」とPWMデューティーに対するリニアリティーを優先する「ハイスピードモード」から選択可能であり、セットコンセプトに最適なPWM調光を行うことが可能である。特に電子書籍を読むなど長時間パネルを点灯する場合に、PWMのオンDuty1%から100%まで効率を一定に保つ「ローパワーモード」を使用することでバッテリー寿命を延命することが可能となる。(図3) また、従来の小型LCD用LEDドライバに比較して大きな電力を取り扱う事になるため、保護機能を充実させ異常動作時でもICの破壊が無いため、安全なセット設計が可能である。 [図3]Compare efficiency for PWM Control VBAT=12V Ta=25℃ 自動調光コントローラ 携帯電話のLCDバックライトでは周囲照度によってLCDバックライトの輝度を調整し、見た目の眩しさを抑え、低消費電力化できる自動調光機能が使われているが、同じように中型LCDバックライトでも、この自動調光機能が消費電力を抑えるのに大きな効果を発揮する。ロームはこの自動調光機能を容易に実現出来る自動調光コントローラ「BD6092GU」を準備している。このICはPWM信号をLEDドライバに出力するもので、アナログ照度センサから出力される照度情報をPWMデューティーに変換し、LCDバックライト用LEDドライバICでPWM調光するものである。(図4) また「表示画像輝度による調光システム」にも対応している。画像処理エンジンからの外部PWM信号とセンサからの信号をミキシングする機能も搭載しており、中型LCDバックライトで低消費電力システムの構築が大幅なシステム変更なく容易に実現できるため、タブレット型端末やE-bookなど携帯性を重視した中型LCD使用セットでの導入が進んでいる。 [図4]自動調光コントローラ 今後 ロームでは低消費電力技術でセットの高機能化や地球環境負荷への低減に貢献していく。今回紹介した低消費電力の調光技術をはじめ、今後も様々な技術で液晶ディスプレイ部の低消費電力化を進めていくとともに、タブレット端末はもちろんのこと、LEDバックライトの搭載される携帯電話からTV用まで、幅広いラインアップで市場に貢献していく予定である。

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